2026/03/26 21:24
— 祭花・春霞・余花・春雨 —
ひらき、ほどけ、残り、満ちるころ
季節は、
暮らしの片隅に、そっと置くもの。
春のやわらかさの中に、
光の強さや、空気の湿り気が
少しずつ輪郭を持ちはじめるころ。
七十二候「草木萌動」から、
次の気配へと、静かに移ろっていきます。
カタツムリというかたちは、
その変化を受け止める存在のように思えます。
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— 田中恒子の視点から —
カタツムリは、
急がず、比べず、
ただ自分の速さで進んでいく存在です。
光が強くなっても、
雨が近づいても、
その歩みは変わらない。
その静けさに、
どこか安心するのかもしれません。
暮らしの中で、
少し立ち止まり、
今の空気を感じる。
そのための、小さなきっかけとして、
このかたちがあります。
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色について
今回の4色は、
春の終わりから初夏へ向かう、
わずかな時間の移ろいを写したものです。
光がひらき、
輪郭がほどけ、
名残が残り、
やがて、静かに満ちていく。
ひとつの季節が呼吸するように、
色もまた、連なっています。
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色に向けた想い
— 田中恒子の視点から —
色をつくるとき、
何かを強く伝えることは、
あまり考えていません。
その場にすでにある空気に、
そっと重なること。
光の揺らぎや、
水分を含んだ気配。
目には見えないものが、
器の中に静かに留まるように。
色は「足すもの」ではなく、
そこにあるものを受け止めるためのもの。
だからこそ、
時間や光によって、
少しずつ見え方が変わっていきます。
朝の光、
曇りの日のやわらかさ、
雨の気配。
そのすべてを、
静かに映し続ける色でありたいと思っています。
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色の名前
・祭花(さいか)
春の終わり、花が名残を残しながら、
ひとときだけ華やぎを帯びるころ。

・春霞(はるがすみ)
輪郭がほどけ、
光と空気がやわらかく滲んでいく景色。

・余花(よか)
咲き終えたあとに、
なお静かに残る花の気配。

・春雨(はるさめ)
音もなく降り、
空気をやさしく満たしていく雨。

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素材と表情
ガラスは、
光を通しながら、
そのままでは見えない空気まで映し出します。
厚みや揺らぎ、
わずかな歪み。
その不均一さが、
色に奥行きと余白を与えています。
ひとつとして同じものはなく、
それぞれが、
そのときの温度や呼吸を宿しています。
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しつらえとして
大きく整える必要はありません。
棚の片隅に、
窓辺に、
器のそばに。
ただひとつ置くだけで、
空間の呼吸が、
ゆっくりと整っていきます。
飾るというより、
季節を、そこに“置く”ように。
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選び方
どの色を選ぶか迷われたときは、
「好き」よりも、
「いまの空気に合うかどうか」で。
光の強さ、
部屋の明るさ、
その日の気分。
そうしたものに静かに重なる色を、
ひとつ迎えてみてください。
選ぶというより、
出会うように。
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ガラスのかたつむり(4色展開)
https://tsunetanaka.thebase.in/search?q=かたつむり
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